研究紹介

全天球画像のデータ収集と雲形と状態判定

海上気象観測は安全な航海に不可欠であり,日本では一般船舶においても観測結果を気象庁に報告することが義務付けられている.しかし,気象測器では雲の種類(雲形)と雲量を判断できないため,現時点では目視に頼らざるを得ず,画像に基づく自動識別に強いニーズが存在する.日本国外において雲形の自動判断を目指した研究は存在するものの,日本の気象環境及び気象庁への報告内容とは必ずしも一致しない.そのため,日本のニーズを満たす人工知能システムの開発を計画した.

はじめに全天球画像を撮影してデータサンプルを収集するための撮影デバイスを開発した.実際に船舶に搭載し,中規模のデータを収集,雲の層(下層,中層,上層)ごとに雲形と状態をラベル付けした.このデータセットをもとに,深層畳み込みニューラルネットワークを構築し学習することで,雲形・状態ともに0.9を超える精度を達成した.

また本研究成果の一部はiOS及びAndroid用アプリ『くもろぐ』としてリリースした.App StoreGoogle Playにてダウンロード可能.神戸大学プレスリリースNHK WEB NEWS朝日新聞にも取り上げられた.</li>本研究はスカパーJSAT株式会社様,バニヤン・パートナーズ株式会社様,株式会社神戸デジタル・ラボ様,神戸大学 大学院海事科学研究科 大澤教授との共同研究として実施された.日刊工業新聞にも取り上げられた.

  • 稲村直樹, 藤原宏太, 天方貴久, 釣文男, 中西波瑠, 小渕浩希, 大澤輝夫, 松原崇, 上原邦昭, “全天球画像と日射量データによる太陽光発電量予測,” 2020年度 第34回人工知能学会全国大会(JSAI2020), 熊本, 6月, 2020.
  • 森川 優, 中西 波瑠, 稲村 直樹, 近藤 伸明, 小渕 浩希, 大澤 輝夫, 松原 崇, 上原 邦昭, “全天球画像のデータ収集と雲形と状態判定,” 2018年度 第32回人工知能学会全国大会(JSAI2018), 2A4-01, 鹿児島, 6月, 2018.

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