研究紹介

自動離散微分を用いたエネルギー保存則・散逸則を満たす深層物理シミュレーション

機械学習で物理現象をモデル化することは,高速なシミュレーションや未知の現象の発見などに繋がると期待されています.しかし離散時間で行われるシミュレーションでは,エネルギー保存則・散逸則といった物理法則が成り立たず,結果が信頼できなかったり,シミュレーションが破綻したりします.これを回避するため,離散勾配と呼ばれる数値積分の一種が研究されてきましたが,手動での式変形が必要であり,機械学習に適応することは困難でした.

本発表は自動離散微分という新たなアルゴリズムを提案します.これによって深層学習でデータから対象のダイナミクスを学習し,エネルギーの保存則・散逸則を厳密に保つシミュレーションを行うことが可能になりました.データから学習できるということは,詳細なメカニズムや方程式が未解明の物理現象(波の伝播や結晶構造の成長など)を高い精度でモデル化し,シミュレーションすることが可能になると期待できます.

ソースコード公開中.

IBISワークショップで発表した動画はこちら.

  • Takashi Matsubara, Ai Ishikawa, and Takaharu Yaguchi, “Deep Energy-Based Modeling of Discrete-Time Physics,” Advances in Neural Information Processing Systems (NeurIPS), 2020. (oral 105/9454=1.1%) (link) (arXiv)

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